豚飼いの名言集① 『目を鍛える』
こんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。
名言。それは養豚の世界にもあります。養豚に携わっている人たちにとっては当たり前。けれども、そうではない方にとっては「迷言」に聞こえるかもしれない??
というわけで、今回のテーマは『豚飼いの名言集①』です。
名言①「目を鍛える」
これは、養豚の世界に入ったら一度は言われる言葉です。
目を鍛える。
何のことかわかりますか?目の筋トレをするわけではないですよ(笑)
視覚を使ってその豚の情報を読み取る、ということです。
その中の一つ、目で見て豚の体重がわかるようにする、ということについて書いてみようと思います。
養豚のゴールは肉豚出荷です。肉を作るために養豚をしています。
「出荷する豚」をどのように選んでいると思いますか?
答えは、8割以上、体重で選んでいます。
「格付け」というワードを聞いたことがあると思います。「A5ランクの牛肉」の「A5」は、牛の格付けにあたります。牛ほど細かくないのですが、豚にも格付けがあります。「上」「中」「並」「等外」+激レアな「極上」の5つに分かれていて、これは豚の枝肉重量と背脂肪の厚さや外観、肉質などによって「日本食肉格付け協会」という機関が決めています。「枝肉」とは、頭や四肢・尾・内臓・皮を取り除いた状態の肉のことを言います。
簡単に言うと、格付けで、その豚の価格が決まります。
農場サイドからすると、極上・上は高値がつきます。(儲かる!)
中→並→等外とどんどん値引きされていきます。
詳しく知りたい方は日本食肉格付け協会を検索してみるとわかりますが、要するに枝重量65~80kgの豚を出荷すれば、上物価格がつく可能性があるわけです。
格付けは、深掘りすると深~い話になるため、さらっといきます。
さて、では枝重量65~80kgの豚は生体(生きている豚)で何kgか?
豚の健康状態などでも変わってくるのですが、一般的には生体重の65%が枝肉重量といわれています。つまり100~123kgの豚を出荷するのがベスト、ということになります。
65%という数字は「歩留まり」というのですが、これは62%だったり、68%だったりもするため、多くの養豚場では生体110~120kgの出荷豚を選んでいると思います。
ここで、やっと話は養豚場に戻ってきます。たくさんいる豚の中で110~120kgの豚をどのように選ぶのか、というと「1頭ずつ体重を測る」のです。
そんなの大変すぎるでしょう!?
なので、目を鍛える必要があるのです。
たくさんいる豚の中からめぼしい豚をピックアップして、その体重を測って選畜するのです。この体重測定の時が、鍛える時間です。
豚の体高、太さ、長さと実測値を頭に叩きこんでいきます。
予想して、体重測定。数をこなして覚えましょう。
さらなる達人は、豚を見たら顔や体型でその豚の両親がわかります。
私は人の顔だって覚えるのが苦手なので、そこは不得意です。。
ちなみに、こちらも耳にしたことがあるであろうトレーサビリティは、子豚の時に耳を少し切って生年月日と両親がわかるよう印をつけて、わかるようにしています。
そしてもう1つ。格付けが良い豚=高値の豚 ≠ 美味しい豚です。格付けと肉の美味しさはまた別の話です!
近年は、技術が進んで、豚の通り道に体重計が設置されていて、そこを通過すると体重測定されて、設定以上の豚はこちらへ、そうでない豚はあちらへ、と選抜すつことも可能となりました。朝出勤したら、出荷豚が揃っている!なんて素晴らしいのでしょう。
でも、これも目を鍛えていないと設定をミスって、選抜小屋に豚が全然いない、とかぎゅうぎゅうに入っている、ということもありました。(経験談)
さらに最近は豚の体重がわかる眼鏡があるそうで!
技術の進歩はすごいですね。
技術が進んでも、この「目を鍛える」という職人技は、やはり必要だと私は思います。
養豚の中で、「体重測定」はどのステージ(豚の日齢、サイズ)でも大切なことです。
生まれた時、離乳する時、移動する時。。
体重を測る場面はたくさんあります。
順調に育っているかはもちろん、給餌量が適正かどうか、今与えている餌の質がどうなのか、など体重から見えてくることもたくさんあります。
1頭1頭体重測定をする余裕がない時は、抱っこしたり、目で見て触って判断する、ということもありますね~。だから目を鍛えておかないと、情報を読み間違えてしまいます。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
またよろしくお願いします! (続)