ハンストする豚

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こんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。

食欲はありますか?

食欲ない時は、どのように過ごしますか?

今回は「ハンストする豚」をテーマに書こうと思います。

 

ハンストとは、ハンガーストライキのことで、「何らかの主張を訴えるために断食をすること」です。

ハンガー・ストライキ - Wikipedia

 

豚もハンストするのです。しかも妊娠中や授乳中といった「しっかり食べなくてはならない」時の豚にハンストされると一大事です。彼女たちの「主張」をいち早く聞き入れて改善しないと、お腹の子供や哺乳中の仔豚たちに影響が出てしまいます。

 

一般的な豚用飼料の原材料は、とうもろこし・マイロ・大麦・小麦(ふすま)・米ぬか・大豆などの油かす・米・魚粉などです。(メーカーや飼料によって異なります)

飼料工場で作られた餌はバルク車で運ばれて、農場の餌タンクに搬入されます。

そして、この餌タンクに入っている餌を配餌車なり、自動餌ラインなりで豚にくれるのです。

母豚たちの餌は(農場によって異なりますが)、妊娠豚だと1~2回、授乳期だと2~4回くらいでしょうか。大体の母豚たちは、餌の時間になるとソワソワし出して、「餌くれ」コールも激しいです。そんな中、ハンスト中の彼女たちは寝たまま。全身で「ご飯いりません」と主張しています。さて、主張の中身はなんでしょうか??

 

①足が痛くて立ちづらい、もしくは立つのが億劫

お腹も大きくなると足に負担がかかります。ちょっとしたことで足を痛めてしまうと立ちづらくて餌の時間に立たない場合があります。これは、個別に立たせてやるとわかります。立った時に4肢のどこかを浮かせていたら、そこが痛いのです。対処としては、鎮痛剤を注射してあげると次の日にはけっこう良くなっています。もちろん、痛めた原因も探します。

立つのが億劫なのは、分娩直後や夏場に多いです。億劫なだけならば、立たせてやるとそのまま餌を普通に食べ始めます。

 

②発熱

これも分娩直後や夏場に多いです。母豚の平熱は38ー39℃。大体、39.5℃以上熱があり、餌を食わないと「発熱」しているとして解熱剤で治療します。夏場は氷水を垂らしたりします。一時的な発熱ならば、解熱剤が効けばお腹がすいていたのを思い出して、餌を食べ始めます。

また立たせてやった後にすぐに寝てしまう母豚は熱があることが多いです。

 

③分娩間近

分娩が始まる数時間前には餌を食べなくなることもあります。(分娩中でも食べる豚もいます)

この場合は、母豚がソワソワしていたり、乳が張って滲んでいたりして、見ればわかるので「頑張って産んでね~」と声をかけるくらいでそっとしておきます。

 

④発情中

発情している時も食べない豚が多いです。なので、妊娠舎で餌を残している母豚がいたら、発情周期や発情しているか → 足が痛くないか → 熱があるか な感じで原因を探っていきます。

 

⑤尿をしていない・便秘

そりゃ、食べたくないでしょ。出るものが出なければ。

母豚のお尻付近がからっからに乾いていたら危険信号、尿が出ていない場合があります。けっこう豚って膀胱トラブルが多いのです。このような時はカテーテルを尿管に入れて排出してあげます。尿を抜くと食べ始める豚も多いです。

便秘も強敵。これは浣腸ですね。

適切に餌を食べて、排泄しているかを日々見るのは、とても大切です。

 

⑥餌の劣化

飼料工場で作られた餌の賞味期限は、2週間くらい、と聞いたことがあります。農場の規模や状況によって、1ヶ月くらい同じロットの餌を使うこともあります。梅雨時など、カビっぽくなったり、虫がわいたりします(米にわく虫と同じ)。

飼料タンクの掃除と、餌の管理も重要です。

ちょっとしたニオイの変化で食べなくなる豚もいます。

 

⑦水が出ているか、餌箱から食えているか

一番最初に確認することはコレでしたね。適切な量の水が出ているかと、顔に合った餌箱かどうかの確認は基本です。

顔に合った餌箱???

豚によって鼻が短い豚と長い豚がいます。鼻が短い豚は餌箱の奥は届かないのです。

 

⑧それ以外

①~⑦の理由でもない場合。これが一番厄介です。違うステージの餌(仔豚用のミルクなど)をあげてみたり、1回餌を抜いてみたり。。。あれやこれやと主張を探します。とにかく、食べ始めれば、きっかけさえあれば食べ始めることが多いです。

そして、直近で悩みの種の餌を食べない妊娠豚。移動のストレスもありましたが、彼女は草しか食べてくれません(草食寄り?)。。。夏ならば草はいっぱいあるのに!!

と、いうわけで冒頭の画像は彼女のために少ない草をむしって集めたものです。

 

いかがでしたか?

もっと書きたいこともあったのですが、長くなるのでこのあたりで止めます。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

また機会があればよろしくお願いします。

                (続)