豚にワクチン

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こんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。

令和になり、人間はコロナで、豚は豚熱(CSF)やアフリカ豚熱(ASF)でウィルスの脅威に脅かされています。コロナの流行り出した頃は「ワクチンが完成したら!」のような希望がありましたが。。アフリカ豚熱(ASF)はワクチンすらないし。。。

というわけで、今回のテーマは「豚にワクチン」です。

 

人間や、ペットのように、家畜である豚も様々なワクチン接種をします。

目的は「病気の予防」と「発症リスクの軽減」で、農場によって「農場にあったワクチンプログラム」で接種を行っています。これは、農場ごとに「存在するウィルス・細菌」が異なるためです。人間で考えると、農場1つが「国」のような感じですかね?今わかりやすく例えるならば、コロナウィルスの武漢株や、デルタ株のように、といえばイメージがわくかと思います。

養豚場に入場する際、車体の消毒をしたり、人間はシャワーを浴びて、その農場で決められた服と履物に着替える、といった様々なルールは、この「農場ごとの違うウィルス(違う株も含めて)」の持ち込み・持ち出しを防ぐためです。直近で他の養豚場に出入りしたか、海外渡航歴があるかどうか、もルールとして申告します。

養豚場に入場する際のルールや、農場内での衛生ルールもたくさんあります。(入場する前にシャワーを浴びる・車の消毒など)

さらに、近年は豚熱(CSF)対策として、農場全体を柵で囲んで野生動物の侵入を防ぎ、防鳥ネットをかけて野鳥が入らないようにしています。以前はタヌキをたまに場内でみかけました。しかも疥癬を患っているタヌキ。柵をしてからは、侵入を防ぐことができて、こちらもたまに出ていた豚の疥癬もピタっと出なくなったので、効果を実感しています。

 

対策は色々とっていますが、それだけで病気は防げません(コロナもそうですよね)。実際問題、養豚場は豚が「密」にいます。養豚業界で言う「密飼い」とはまた違いますが(密飼い:1豚房にたくさんの豚を飼っていること。ストレス、病気を引き起こしやすくなります)、経済動物のため、そんなにゆとりのある飼い方はできません。人間も同じで、仕事や学校があるため完全に密を防ぐのは難しいですよね。

なので、少しでも病気の発生を防ぐためにもワクチン接種は不可欠なのです。

ワクチンは、種類によって「感染したが発症を防ぐ」「症状軽減」などがあり、その中のひとつに「感染を防ぐ」ものがあるのです。ワクチンを接種したら無敵になるわけではないのです。

 

 人間では、赤ちゃん~幼少期に色々なワクチン接種を行います。定期接種(法律で決められている)と任意接種があり、複数回接種が必要なものもあり、混合ワクチンもありますが、すごい数です。(詳しく知りたい方は、ググってください。)

豚用のワクチンもたくさんありますが、あくまでその農場に必要なワクチンを選択して接種します(ワクチンは高値!!)。そして、現在国で決められた獣医師のみに接種が許可されている豚熱(CSF)ワクチン以外は、従業員が接種します。

 

・いつ頃から? → そのワクチンによって、接種に最適な時期が異なります。早ければ生後1週齢から打ちます。今の農場では、①生後3週齢(2種類) ②生後35日齢 ③生後40日齢(CSF)④生後45日齢 ⑤生後56日齢 肉豚は出荷までに5回ワクチンをうちます。親豚は、妊娠するたびに3本(混合ワクチンもあるため病気的には5種類)のワクチンをうち、さらに1年に1度CSFワクチンをうちます。

・どうやって? → 注射器で(人間でも使うプラスチック製のシリンジやゴツい金属製の注射器、連続注射器などがあります)

・どこに? → 筋肉注射の場合は耳根部に(耳後ろの部分。ここにうまく打たないと商品(肉)に影響が出てしまう場合があります)⇒冒頭の画像参照

ワクチン接種以外にも、病気やケガの豚に治療を行うことがありますが、これも基本的には耳根部に注射します。

・逃げない? → 逃げます。抱っこできるサイズであれば抱きかかえて接種するのが確実です。抱っこできないサイズの場合は、板を使ったり狭い場所に満員電車のような状態にして順番に接種します。

・針はどんなもの? → 多種多様に販売されているため、豚のサイズに合った針の太さと長さのものをチョイスします。哺乳豚では長さが1.5~2㎝の細くて短い針を使います。生後40日くらいの豚では、長さは2㎝ですが、哺乳豚で使用するものよりも太い針を使います。親豚では長さが4㎝!たま~に間違って自分に刺すと痛いです。。。

 

思えば、この業界に入りたての頃。20ml注射器と4㎝の針を先輩に渡されて、「母豚に打って」と言われました。誰でも最初は初心者!ですが、母豚は大きいし、なんか威嚇してくるし、注射器も大きいし・・・!とだいぶビビった思い出があります。 ⇒冒頭の写真では、完全に注射に慣れて豚に注射しています。

慣れです。針が折れたり曲がったりすることもあるので、常に注射する時は「全集中!」です。(もう古い?)豚とタイミングを合わせれば、そんなに騒ぐこともありません。

 

コロナのワクチン接種も始まり、副反応が話題となっていますが、豚にもワクチン後の副反応はあります。何より、群の仔豚に接種して、「この後安静にしてください」は不可能です。数時間ピーピー鳴いていたり(痛いのでしょう)、半日~1日餌食いが落ちたり(倦怠感?)、接種した次の瞬間に仮死状態になる場合もあります。仮死状態は長くて数分ですが、こちらもビックリします。

 

今回は豚のワクチン接種(のやり方)について書いてみました。また機会があれば読んでください!

 

                (続)