豚の鳴き声

f:id:BUTAchan:20210808192327j:plain

こんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。

豚の鳴き声は、皆さんご存じ「ブーブー」。もちろんブーブー鳴きます。でもこれだけではないのです。犬や猫を飼われている方はわかると思います。「わんわん」「にゃー」だけではなく、色々なバリエーションがありますよね?豚もそうなのです。

というわけで、今回のテーマは『豚の鳴き声』です。

 

〖飯よこせコール〗

養豚場では、「種豚」と言われる親豚たちは「制限給餌」といって1日に何回か決まった量の餌を与えられます。対して、離乳した仔豚~出荷するまでは「不断給餌」といって餌は食べ放題スタイルのところが多いと思います。

親豚たちは、1日1~4回餌の時間があります(妊娠中か哺乳中によって異なります。農場によっても違います)。この餌の時間の母豚たちの鳴き声はものすごいです。「ブォー!!」と雄たけびのように叫び、近くで会話もできないくらいの声量です。全員が全力で「飯よこせ~~!!」と言ってきます。

誰か1頭(の母豚)が豚舎に来る『餌をくれる人間』に気付き、鳴き始めるとたちまちそれが伝染して、みんなが鳴き始めます。これを「スイッチが入った」と内々で呼んでいます。女性の集団のパワーがすごいのは、人間だけではありません。。。

そう、雌豚が飯よこせの雄たけびをあげる中、雄ぶたはあまり鳴きません。もちろん、立ち上がって「ちょうだい!」と態度で現してはいますが、大声をあげているのはあまり聞いたことがありません。なんでだろう~?

ところで、なぜ「制限給餌」なのか?それは、太りすぎてしまうからです。分娩・授乳するのにちょうど良い体型になるように管理しています。太りすぎも痩せすぎもNG。豚のためにも従業員のためにもならないのです。

 

〖発情すると吠える〗

離乳してから5日目、あるいは21日周期でやってくる豚の発情期。豚によって個体差がありますが、発情すると「ブフォ ブフォ」と吠えることがあります。

豚の発情は、外陰部が赤く腫れる・餌を食べなくなるなどから判断します。発情期間は1~5日くらいですが、「許容」OKな時から種付けを開始します。許容の豚の背中に乗ると、豚は耳をピーンと立て、動かなくなります。

そんな感じで種付けした豚ですが、うまく着床しなかったりで種が付いていない時があります。その豚をうまく見つけていかないと、「タダ飯食い」が生まれてしまうのですが、種付けしたはずの母豚が吠えていたら、再発(再発情のこと)注意で、その豚を確認しにいきます。

 

〖授乳中の優しい声〗

種が付き、分娩が終わり、授乳期間に入ります。豚は大体1時間に1回くらい授乳しているのですが、この時に「ブッブッブッブッ」と鳴きます。これは、10頭近くいる仔豚を呼び集めるのですが、仔豚たちが集まってお乳を飲んでいる時間も鳴いています。

これがものすごく優しい声で癒されます♡

あの餌よこせコールしている豚と同じとは思えませんが、授乳中に母豚の餌くれ時間がくると、授乳を中止して餌くれコールを始めます。うん。食べないと乳出ないしね。

 

〖仔豚の危機〗

ここから、仔豚たちの鳴き声です。

生まれたばかりの仔豚は1.5㎏ほど。対して母豚は小さくても150㎏くらい、大きいと250㎏くらいはあり、親子の体格差はすごくあります。

しかも、仔豚は10頭近くいて(場合によっては15頭以上)、母豚が一度立つとわらわらと仔豚は歩き出します。母豚が寝ようとしても腹の下にわらわら。1頭いなくなっても違う仔豚が腹の下へとことこ、なんてことも良くあります。母豚も気をつけて寝ようとしますが、どうしても巻き込み事故に合う仔豚が出てきます。足で踏まれたり、腹の下敷きになったり。この時、仔豚は「ピギャー!!」と甲高い声で助けを求めるので、我々従業員が助けにいきます。母豚は、というと反応して立つ豚もいますが、無反応も割と多いです。。。

兄弟げんかや柵にはさまって鳴いたりもします。基本的には踏まれた時と同じような鳴き方ですが、声の危機感が違います。

 

〖離乳直後の仔豚〗

離乳した仔豚は、母豚を探して「ブヒ↗ブヒ↗」と鳴くことがあります。まぁ、急に母豚がいなくなるのだから、当然ですが。

この前感動したのは、離乳豚舎から脱走した1匹の仔豚が、離乳豚舎から一番離れた妊娠豚舎(母豚がいる)ところまで行き、なおかつ自分の母親の元にいたことです。離乳した翌日だったため、仔豚は乳を飲んでいました。他の母豚には小突かれていましたが、たくさんいる母豚の中から自分の母親を探し当てる!すごいです。

 

〖イジメ〗

ちょっと重い話になりますが、豚の世界にも「イジメ」はあります。気付いてその群から離してやらないと死に至ります。この時は「ピーピー」が近いかな?集団リンチをくらうため、早期に発見しないと鳴く力もなくなってしまいます。

豚のイジメは、その豚が何らかの病気を持っていて何か違うニオイを放っているため排除のために起こる、という説もあります。ある種の防衛本能ではあるけれど、人間目線で見るとやり方がエグいです。。

 

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

また機会があればお願いします。

               (続)