「命をいただく」ということ

f:id:BUTAchan:20211121211032j:plainこんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。

今回は、ちょっと(いや、かなり)モヤモヤしたことがあったので、ブログに書いて成仏させようと思います。

テーマは「命をいただく」ということ、です。

 

豚に限らず、私たちが口にして栄養にしているモノは「何かの命」です。

それはお肉であれば動物の命、野菜やパン・米は植物の命です。

色々な考え方があるし、ヴィーガンの考え方も理解できるし、実行されている方はすごいと思います。

でも、肉は美味しいし、ダウンは最強に暖かいので、私は肉を食べてダウンも着ます。

命に感謝、作ってくれた人にも感謝、です。

 

『養豚』の仕事を長くしていますが、出荷豚を見て「かわいそう」という感情は湧いてこないです。むしろ美味しそうに育ってよかった、です。

ただ、成長不良やケガなどで一番良いところで出荷できなかった豚に対しては「ごめんなさい」という感情ですかね? あなたの命をいただくのに、最高な状態にしてあげられなくてごめんなさい、です。

 

ある新人さんが言いました。その方はすぐに辞められたのですが。。

「出荷はかわいそう。見てられない。」

「去勢なんてよくできるね!?」←去勢作業をするたびに。。

「そんな物騒なもの持ってよくやるね!」←体調崩した豚に治療しようと注射器を持っていた時に

元気に走り回っている豚を見て「かわいいね~」

『肉』になったものは「おいしいね~」

 

いや、なに!?

「かわいそうだから私は豚肉は食べません」ならば、まだわかります。

仕方がないです。

でも、豚肉は好きだけれど、「製品」になる過程は見たくないってこと??

思っていても良いし、大半の人はそうだとも思うけれど

それ(養豚)を仕事にしている人に言うこと!?

悲しいですね。ショックですね。

 

多分、面と向かってそういう風に言われたのが初めてだったからかもしれません。

今まで、農場見学なども含めて出会った人で、そんなことをいう人に出会ったことがなかったですからね。

大体の人が「こういう風に育っているのですね。ありがたいですね」のようなコメントだったので。

 

「肉」を食べるということは、命をいただくということ。

なので、最高な状態に仕上げて、最高に美味しく食べていただきたい、というのが願いです。

最高な状態に仕上げるために、日々養豚家たちは豚を育てています。

そして、仕上がった豚をと畜する人がいて、カットする人がいて、パック詰めする人がいて、売る人がいて、消費者の手元に届きます。

「いただきます」「ごちそうさま」

日本語の奥深いところはここですね。

 

まぁ、色々な人がいるから。。。

こんなこと言われたことがある~、といつか笑い話にできれば良いのかな?

ここまで読んでくださってありがとうございます。

また機会があればよろしくお願いします!

               (続)

仕事と趣味

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こんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。

今回はいつもと少し違うテイストです。大げさに言うと、目から鱗が落ちた体験をしたのでそれを書きたいと思います。

 

まず

あなたは「好きなこと」を仕事としていますか?

プライベートで楽しむ趣味は職種に関連したものですか?

 

先日、知人が「アニマルカフェ」をオープンしました。様々な種類の動物たちがいるようです。

私はすぐにでも行きたいし、なんなら通いたいし、入り浸りたいくらいなのですが、パートナー(養豚場に勤務)は違いました。

「アニマルカフェって、普段、動物と関わっていない人が行くんじゃないの?いつも豚に囲まれているから、休日まで動物はちょっとなぁ」

パートナーの言い分はこうでした。なるほど。確かに。

 

自分の現在の職場は山の中です。日々、山の緑に囲まれて、四季の移ろいを肌で感じ、鳥の声を聴きながら仕事しています。1日の歩数は2万歩くらいです。

休日に「山歩き」をしようなんて、これっぽっちも思いません。

もし、職場が街中ならば話は変わりますね、多分。自然の中に身を置きたくなるし、「たまには」緑を近くで見たい!と思うはずです。

うん。そうか。

パートナーの言い分はこういうことなんだ、と理解しました。動物に携わる仕事をしていても動物が大好きなわけではないんですよね。これが目から鱗の話です。(今更感がすごいって??)

 

多分、山が好きで、山の仕事に就いている方は、プライベートも山に関わることもあるのでしょう。私の中のイメージは、漫画(映画化もされましたね)『岳(岳 みんなの山)』の主人公 島崎三歩です。北アルプスの山中で暮らしながら山岳救助ボランティアとして活動していました。(詳しくは読んでみてください)

作中で、三歩が言います。「悲しい事故が起こるのは山の半分。楽しいことがあるのも山の半分。両方あるのが山」「山が好きだけど、結局なんで好きなのかはわからない」

 

自分は、動物好きですが、どのようなところが好きなのか?

世界には色々な生き物がいて、それらを見たり感じたりしたい、という欲求。

なのかな?

もちろん、楽しいことだけではないです。悲しいことも、仕方がないこともたくさんありますが、やっぱり動物が好きなんですよね。

 

たくさん愛でて、できる限り長生きさせたい、のは「ペット」の動物たち。

色々な種類の動物たちの姿・ニオイ・行動を魅せるのは「動物園」や「野生」の動物たち。

人間のために「美味しい」肉を提供してくれる「家畜」や「野生」の動物たち。

人間の代わりをやってくれる「実験動物」の動物たち。

私はみんな必要だと思います。(賛否両論ありますが)

 

話は少しズレましたが、私は、仕事中は豚、家では猫にまみれて暮らしていて幸せです。でも、人それぞれですね。強制するものではないし。

「仕事が趣味」という人も世の中にはいますが、ちょっとソレとは違うのかな?どちらかというと、「仕事も趣味」。好きなこと(嫌なこともあるけれど)をして給料もらえてハッピー、くらいな感じです。

昔、少し思っていた「家を動物園にしたい」(=色々な動物を飼いたい)は、今の職場では体力的にキツイためできません。だから、知人が「アニマルカフェ」をオープンして、すごく嬉しいし、ちょっと羨ましいです。

まぁ、一人で通っちゃうんだろうな~。

ここまで読んでくださってありがとうございました!

また機会があればよろしくお願いします。

                 (続)

哺乳豚への処置②

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こんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。

今回は、前回の続きで生まれた後の仔豚に行っていることについて書こうと思います。

前回は「初乳」「鉄剤注射」「去勢」「断尾」についてでした。それでは、どうぞ~。

 

【 耳刻(じこく)】

耳を切って印をつけます。V字に切れる耳刻器を使って、私は腹ごとに「仔豚番号」を切っています。

分娩があると、「分娩台帳」に順番に記帳していきます。それら分娩の順番に番号を振ります。10月の最初に生まれた腹は「1001」、2番目に生まれた腹は「1002」・・・。これが「仔豚番号」になります。なので、一緒に生まれた兄弟は皆同じ耳の切り方をしています。

これで何がわかるかというと、「父」「母」「生年月日」がわかります。

そうです。トレーサビリティです。出荷する時にはもちろん、母豚選抜の時、死亡した時、変な豚がいる時など、耳刻があるとなしとでは情報量が違います。

牛でよく見る耳についているピアスのような「耳標(TAG)」も個体識別するツールです。種豚ではもちろん使いますが、基本的に肉豚にはあまりつけません。コストの問題と、意外とアレは途中で外れてしまうのです。

 

【 抜歯 】

これは、行う農場と行わない農場があります。自分もかつては抜歯をやっていたことがありますが、今はやっていません。

生まれたばかりの仔豚には、すでに犬歯が生えています。上下左右に2本ずつ、計8本。仔豚同士の乳争い時に仔豚がケガをしたり、哺乳時に母豚を傷つける可能性がある、ということで昔は抜歯をするのは当たり前でした。

ニッパー(もしくは人間用のニッパー型の爪切り)を使い切る方法と、やすりで犬歯の尖りをこする方法があります。いや、やすりって。。時間かかりますね。。。

切る場合も、切りすぎると出血して、その後仔豚が痛みで乳を飲めなくなる可能性があるため、上部の尖りを少しか、半分くらいを切ろうとしていました。

腹(兄弟)の中で極端に小さい仔豚がいることがあります。こういう仔に対して抜歯をしないと(そして他の兄弟は抜歯をする)、けっこう乳争いに勝てたりもしました。

母豚への傷は、抜歯をしてもしなくてもあまり変わらないようにも思えました。そして、何よりも「抜歯」の作業がないだけでかなりの時短になるため、個人的には抜歯はやらなくても良いかな~と思います。

 

【 下痢予防薬を飲ませる 】

哺乳仔豚と下痢は切っても切れない関係で、違う農場の分娩舎担当が集まると必ずと言ってもいいほど下痢の話題は出ました。生後3日齢と7日齢でする下痢はその後の回復に時間もかかり、命を落としてしまうこともあります。

下痢も原因菌は、PEDなどの有名な?原因ウィルスによるものだけではなく、他のウィルスや病原性大腸菌や原虫によるものもあります。そもそもの原因も、豚舎の汚染状況や、母豚の体調(ほぼコレだと思う)があります。

その中で、割と簡単にできる優秀な経口予防薬が販売されているので、哺乳豚に経口投与をしている農場が多いと思います。高価だけれど効果あります。

 

【 各種ワクチン 】

以前書いた『豚にワクチン』のところでも少し触れましたが、農場によって接種する時期も種類も違うワクチン。多くは哺乳中にワクチンプログラムはスタートします。

早ければ生後1週間で開始です。人間だと考えられないですね。。。

ワクチンも、接種前には人肌(≒豚肌)くらいに温めてから行います。接種対象腹の体調(下痢がひどいなど)も考慮して接種します。

作業的には、分娩舎で行うワクチン接種は小脇にかかえて行います。なので、幼い頃に行う方が作業的には楽だし確実に接種できます。離乳以降は満員電車状態にして打つことが多いです。今の農場では、最後のワクチンは70日齢くらいで打つのですが順調に育っている豚は30㎏ほどあります。力が強いのです。。。(豚を抑えるのも大変)なかなかの作業量ですね。

以前いた農場では週270頭離乳していて、7・8・9週齢でそれぞれワクチン接種を行っていました。なので、1週間のワクチンノルマは270×3=810頭!!人員が確保できない時は一人で作業していました。夏季は地獄でしたね~、正直あの数を一人ではもうやりたくないです。

 

いかがでしたか?養豚場ではこんなことやっているんです、という話でした。

現在私は、①仔豚確保 ②耳刻 ③鉄剤注射 ④ペニシリン注射 ⑤経口投与 ⑥(♂は)去勢 ⑦断尾 の順番で作業していて、1腹10頭いて15分ほどで終了します。連続4腹くらいまでなら集中力が持ちます。昔1日10腹作業した時はその日1日中ずーっと上記作業をしていました。。。

ここまで読んでくださりありがとうございます。また機会があれば読んでください!

              (続)

 

哺乳豚への処置①

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こんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。

今回は、知られているようで知らないかもしれない、哺乳中の仔豚へ行う処置について書いていこうと思います。

 

【 初乳はマスト 】

仔豚は、色々な病気に打ち勝つ「抗体」を初乳から受け取ります。出生後24時間ほど経つと吸収できなくなるため、生後間すぐにどれだけ初乳を飲ませられるかが勝負です。吸収できなくなるのは、腸管(内臓)がそのように作用しなくなるからです。

そのため、生まれたばかりの仔豚たち全員が初乳を飲めるように「分割授乳」を行います。やり方は単純にその時点で乳をよく飲めている仔豚を一時的に隔離して、飲めていない仔豚に乳を飲ませてやります。(冒頭画像)

近年、初乳の代用乳もだいぶ高品質になってきて、18頭とか生まれても割と助けられるようにはなってきました。まぁ、18頭生まれた場合は乳不足もあるけれど、小さい仔豚たちがわらわら歩いている中で母豚が横になる時の巻き込み事故もよくあります。。

 

【 鉄剤注射  】

生まれたばかりの仔豚が乳を飲むことで血が薄まり起こる「生理的貧血」というのがあります。そして豚は、成長が早いです。何しろ1.5㎏ほどで生まれた仔豚が3週間後には6㎏くらいになり、半年後には100㎏を超えるのですから。その成長のために「鉄欠乏性貧血」を起こすこともあります。

この貧血予防のために、生まれた仔豚には鉄剤注射をします。生後3~7日以内に行うのが一般的です。経口タイプもありますね~、使ったことはないけれど。

 

【 去勢 】

去勢が一番有名?ですかね。私は鉄剤注射と同じタイミングで去勢を行っています。

メスでピッピッと切って睾丸を出して捩って取ります。時間にしたら1頭10秒で終わります(慣れるまではもっと時間かかりますが)。さすがに、去勢中(10秒)は鳴きますが、そして術後は一瞬歩き方変になりますが、すぐに歩いていますね。抗生剤注射と患部消毒はマストです。

EUでは去勢時に鎮痛剤・麻酔薬を併用して行うことや、2018年に去勢廃止、というブリュッセル宣言というものを2010年に採択しています。

日本でも廃止を求める声も聞きますが、実際に去勢廃止は無理だと個人的には思います。なぜなら去勢しなかった豚は、肉豚出荷前あたりから雄臭がすごく、出荷しても、「雄」ということで値引き対象です。何故値引きか?肉に雄臭がついていて、人間が食べる肉として販売できないからです。じゃあ、雄臭が出てくる生成熟前に出荷すれば?と思うかもしれません。それはそれで、体重が規定外で出荷してもお金になりません。消費者と生産者のためには「去勢廃止」はキビシイかもしれません。

ちなみに、生殖器を取らない雌よりも、去勢豚の方が太りやすいです。

そういえば、焼き肉(ホルモン焼き)屋さんにあるメニューで「ホーデン」。食べたことありますか?これが実は豚の睾丸です。食べてみると。。。種豚豚舎のニオイがしました(笑)。別のホルモン焼き屋さんでは「おっぱい」もありました。豚のおっぱいです。こちらを食べた感想は「ふ~ん」でしたけれど、見かけたら一度は食べてみたくなるのが性です!

 

【 断尾 】

文字通り、しっぽ切りです。「テールスパッター」という道具で焼き切っています。

なぜしっぽを切るのか、というと「尾かじり」防止のためです。

充分な餌・水もあり、どんなに住環境に配慮しても一定数ある種のストレスを溜めてしまう豚がいます。そしてストレスで「他人のしっぽをかじる」という行為に出ます。かじられた方は血は出るし、その血のニオイで他の豚もちょっかい出してくるし、で良いことはひとつもありません。最悪、根本までかじり、菌が体内に入り、立てなくなったり死んでしまったりもします。

しっぽが長ければ必ず尾かじりが出るかというと、そうではありません。出る方が少ないと思いますが、出た後の被害が大きいため、全頭切っています。

大体群れで1頭か2頭が「尾かじり犯」で、神経質そうな顔をしている豚が多い気がします(本当)。

 

意外と書きたいことがたくさんあったので、今回は前半。2回に分けることにしました。ここまで読んでくださりありがとうございます!また機会があればよろしくお願いします。

                (続)

 

 

 

My Dear Pig

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こんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。

今回は、「これが養豚の真髄」なのではないかと思う曲を勝手に紹介させていただきます。初めて聞いた時は、衝撃でした。

なんだろう?

「わかる!!」とテンションも上がるし

「そうだよね~~」としみじみもすれば

「あー、わかるわー」と遠い目になったりもするこの曲。

それは、1998年に発売されたCoccoさんのアルバム「クムイウタ」に入っている曲で「My Dear Pig」です。

特にすごくCoccoさんのファンというわけでもなく(ごめんなさい)、ただ有名な曲も入っていたし、CDジャケットが気になったので購入したのですが、6曲目のこの曲で「!?」となりました。購入したのは、おそらく発売されて何年か経った後で、私がこの業界に入ってからだったと思います。

JASRAC著作権を管理している楽曲は歌詞転載がOKということなので、歌詞を読んでみましょう!

 

                     ♪ My Dear Pig ♪        作詞・作曲:こっこ

 

    あなたのママは マシューおじさんの 牧場で生まれたの。

    それはそれは 立派なブタでね 本当によく太ったわ

    とっても高く 売れたと言ってね、 そうそうよく覚えている

 

     Your Mammy is a pig    So great pig

    But she said everyday  Don't eat me

     Oh-oh please please  Don't eat me

     BOO she is no more 

 

    あなたの使命 果たすべきことは 私のため太ること

    ここで一番 ヤミーなごちそう 毎日たべたでしょう

    ママより高く 売れたと言ってね 大いばりができるわ

 

     Your Mammy is a pig    So great pig

    But she said everyday  Don't eat me

     Oh-oh please please  Don't eat me

     BOO she is no more 

 

    愛しているの ベイビーあなたをね 冗談よ 手離したりしないわよ

    日曜すぐに教会の後 ソーセージにしましょう

    あなたを食べる 独りで食べるの

    心配などしないでね 一滴の血も 残したりしない

    私だけの my baby

 

    Your Mammy is a pig   So great pig

    But she said everyday   Don't eat me

    Oh-oh please please   Don't eat me

    BOO she is no more

    My Dear Pig is you

 

すごいですよね?天才??

勝手に沖縄の方は養豚業以外の方でも豚と縁が深いと思っているのですが、沖縄に知人がいないためわかりません。。。実際どうなのでしょう?

特に衝撃を受けた歌詞をピンク色にしました。

 

私の場合、分娩舎歴が長いため、母豚に思い入れが強いです。

なので、少しベクトルが違うのですが、「独りで食べる」「一滴の血も残したりしない」共感です。

今は違いますが、昔の私は「この母豚は私が看取りたい!」と思っていました。

お産のたびにトラブル続きで、毎回ものすごく手のかかる母豚がいました。本来ならば、体調不良を理由に出荷する対象だったのですが、そこまで成績が悪くなかったため、残してもらえました。結局4回分娩して、最後は体調が戻らず看取ったのですが、この時の心情がまさにこの曲でした。

ところで、母豚や、雄豚も、最終的には出荷します。ただ、通常は挽肉かペットの餌になるようです。枝肉価格も安いです。

今は「お疲れさまでした!!」と母豚を見送り、出荷のトラックに載せますが、母豚の出荷は肉豚出荷とは違い感慨深いです。

 

そして、最後の「My Dear Pig is you」

素敵です。ペットとは違う愛情ですかね。

かわいくて、愛おしくて、美味しいのが豚なんですよね。

今回はCoccoさんの詞を引用させていただきました。

ぜひ、一度聞いてみてくださいね~。

 

youtu.be

 

それでは、またよろしくお願いします。

               (続)

養豚場とカレンダー

 

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こんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。

誰もが日々目にしているカレンダー。養豚場でもフル活用中です。

今日のテーマは「養豚場とカレンダー」です。

 

カレンダーは、生後〇日で行う鉄剤注射・去勢・ワクチン接種の予定を組んだり、発情周期や分娩予定日を確認したり、体調を崩した豚に治療する薬剤の出荷停止期間を調べたりします。

1ヶ月って、30日の時もあれば31日もあるし、28日かと思えば4年に一度29日になるので、暗算して考えると少し頭の体操になりますね。

例えば、10/12 生まれの豚のワクチン接種を21日齢で行いたい時。10月は31日までだから 10/31 で19日齢。プラス2日で21日齢だからワクチン接種は 11/2 に行う、のような感じで私はいつも考えています。

ただ、妊娠期間は3月3週3日で、さすがに暗算ができないため、種付け日から計算した分娩予定日をカレンダーに書き込んでいきます。

カレンダーとにらめっこする仕事があるのですが、それを書いていきたいと思います。

 

妊娠中の母豚は、妊娠豚舎で生活していて、予定日が近づくと分娩豚舎に移動します。

推奨は、予定日の1週間前に分娩豚舎へ移動することなのですが、けっこう住宅事情が厳しく常にフル稼働しているため、「小屋空け」のスケジュールを組むのに難儀します。スケジュールを組むために考えることは大きくわけて3つです。

・予定日の1週間前までに移動する ⇒ 分娩予定腹数を確認(=必要な小屋数)

・次回離乳する腹の授乳日数・頭数・成長具合を確認

・分娩予定3週間分くらいのスケジュール確認 ⇒ 次回離乳腹数が決定!

小屋空けは、「離乳で出せるか」と「分娩予定を入れられるか」だけです。

 

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具体的にどう組んでいるのか?

上のカレンダーで、(数字)腹と書いてあるのは実際に分娩した腹数で、〇の中の数字は分娩予定数です。

10月10日時点で、10/9 までの終了した分娩が書いてあり、10/12~は分娩予定日が書いてあります。

離乳を毎週(木)に行います。

直近で、10/7 に離乳をして、空いた小屋に 10/12-15 予定の6頭を分娩舎に移動しました。(実際は 10/7 離乳→小屋掃除・水洗・消毒 10/8 に母豚移動)

いや、すでに予定日1週間前切っているけれど。。。

最悪、予定日の前日に入っていれば最悪OKとしてしまっています。中には予定日前日に産むのもいるため、母豚の状態を確認してからですが。掃除・水洗・消毒して乾燥できないまま豚を移動してしまうこともたまにあります。本当はダメだけれど、分娩舎以外で産んだら仔豚がかわいそうなので、仕方がありません。

それで、10/7 に離乳をした腹は、9/7-11日生まれの腹で、授乳日数は26~30日となります。授乳日数についても色々書きたいことはあるのですが、長くなるのでまた今度。最低限、26日は授乳させておきたいです。

 

再び予定日のスケジュール確認です。次週(10/20-22)は6腹予定、その次(10/28-29)も6腹予定。。。!?  11/7-13の週、10腹予定じゃん!!

次週10/14の離乳は9/16-18生まれの6腹(26-28日授乳)、その次10/21は9/23-25生まれの6腹(26-28日授乳)。

分娩予定が毎週同じ数だと離乳も組みやすいです。けれど、生き物相手のため、常に定量供給は難しいです。

種付けした母豚が100%分娩するのはないです。(週など短期間で見ればあるけれど)

農場の状態や季節などによっても異なり、良い時は95%、悪い時は60%なんてこともあります。

 

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で、10腹予定週はどう乗り切るか?

この場合、通常だと。。10/28 離乳で 9/30-10/2 生まれ6腹(26-28日授乳)、11/4 離乳で 10/5-9 生まれの6腹(26-30日授乳)←この時点で11/7  予定までしか入りません。

離乳腹数を来週 10/14 から7腹にして(授乳日数は21日の腹が出てくる)。

そうすれば 11/4 離乳で 11/11 予定まで入ります。

なので、11/11 離乳は前日 11/10 に行って。。。のように乗り切るかと思います。

しかも、お気づきでしょうか?

11/4 離乳予定は、10/5-9 生まれって生まれたばっかりじゃん!その後はまだ予定が立てられません。。。

 

こんな感じです。(実際は、さらに仔豚の頭数調整もあります。)

ここまで読み進めてくれた方、本当にありがとうございます。

このぐちゃぐちゃする感じを伝えたかったのですが、読みづらくてごめんなさい。

懲りずにまた読んでください!

                (続)

養豚家あるある②

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こんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。

今回は、どこの業界にもあるアレ、養豚家あるあるの2回目です。

今回は主に仕事中あるあるについて書いてみようと思います。(あくまで個人の見解です)

 

〘 残業=分娩管理 (難産)〙

これは、分娩舎担当なら1度は必ずあるはずです。「難産なので残業です」みたいな感じです。もしくは、「破水したので様子を見てからあがります」とか。

ほとんどの豚は安産ではありますが、中には難産の母豚もいます。基本的には破水してから約1時間以内には仔豚が出始めて、その後大体2時間くらいで胎盤が出て終了します。そして難産には、大きく分けて2パターンあります。いきみが弱くて仔豚が押し出されないパターンと、骨盤が狭くて骨盤で仔豚がつまってしまうパターンです。

いきみが弱い母豚の場合は、母豚を立たせて向きを変えたり、子宮の収縮を誘発する薬を使ったり、お腹を押したり、直接手で引っ張りだしたりします。この場合はまだ良いのです。

問題は、骨盤が狭いパターン。これは直接引っ張り出すしか手はないのですが、ヒトの手すらギリギリの場合もあります。仔豚をつかんだら、骨盤を通過できないのです。そういう時は、ワイヤーや紐状のものを仔豚にかけて引っ張るのですが、これがなかなか難しい。逆子の場合は後ろ足にかければよいのでやりやすいのですが、頭が前の場合、輪を耳の後ろを通して口にかけて引っ張ります。それを手探りでやります(産道の中だから)。しかも骨盤が狭いような母豚なので、狭い。経験値をあげるしかないですね。。

どうしても手が届かなくて、どうにもしてやれない時もあります。骨盤が狭いけれど、母豚は仔豚を出そうといきんでいて、手が届かない場合は、母豚も体力勝負なので、翌朝力尽きている時もあります。。。けれど、仔豚が無事に生まれてくると報われますね。

 

〘 豚舎内で携帯紛失⇒後日バキバキな状態で発見 〙

まだスマホではやっていません。会社のガラケーではやってしまいました。失くしたと気付いた時にはもう遅い。豚房内で落とした携帯は、豚に持っていかれました。数週間後?何か異物があると思い拾うと、それは変わり果てた携帯電話でした。バッテリーははずれ、無数の噛み跡が。。。

汚水漕の中に落とす人もいましたが、こちらは捜索不能になりました。深さ1メートル以上の汚水漕。絶望的です。

作業着のポケットに入れておくと、下を向いた拍子に携帯を落としてしまうことがけっこうあったので、ガラケーにはストラップをつけて首からさげてからポケットに入れておきました。

 

〘 2日以上の休暇後出勤するとニオイを感じる 〙

ニオイって慣れるのです。毎日出勤していると、別になんとも思わない鼻になるのですが、数日休むと鼻がリセットされるのか、朝農場に到着すると「ニオウなぁ」と思います。一瞬だけ。すぐにまた慣れます。

 

〘 イヌネコ用品が通用するのは1週齢まで 〙

豚の専門用品は色々ありますが、けっこうお値段が高いので、代用品を考えたりします。最近は、100均でペット用品も売っているため、使ってみたりしますが、何しろ好奇心旺盛で力が強い豚たち。ペットボトルを差し込む水入れは、1週齢までは、何とか使えました。体重が2kgを超えてくるともうダメです。頭数もいるしね。

 

〘 ホームセンターや100均で使えそうな物を物色する 〙

↑ の続きでもありますが、何か使えるものがないかなぁと物色するのは好きです。ホームセンターに集うお父さんたちの気持ちがちょっとわかるような気がします。

 

〘 少しのハエは気にならない 〙

これは、外部の人に言われたことがあります。「ハエが口に入ったりしない?」とか。口に入ったり、目に入ったり、なんなら何故か電気配線上で大量死しているハエの塊が頭につくことも日常茶飯事です。Gと一緒で、プライベートでは1匹のハエだって気になりますが、仕事中は大丈夫です。さすがに、歩くたびにブワ~っとなるほど大量発生している時期はウザすぎて気になります。

サシバエとかアブ・ブユ・ハチ・蚊など人間(豚にも)を刺す虫は全力で駆除します。

豚も虫に刺されます。裸ん坊なので、全身刺されてかわいそうな時もあります。

 

〘 空気で時間や天気がわかる 〙

外仕事の人は、皆そうだと思います。1日中ほぼ外にいて、チラチラ時計を見ながら作業をしているため、大体の時間と外気の状態がリンクするようになります。

空を見て雨が降るなぁと思ったり。雨が降ると一気に面倒になる作業もあるため、空を見ながら作業を進める時もあります。

 

共感できるあるある、ありましたか?

ここまで読んでくださってありがとうございます!

また機会があればお願いします。

                (続)