豚の健康診断
こんにちは。BUTAchanのブログへようこそ。
今回は、消費者さんにはおそらく馴染みのない「豚の健康診断」がテーマです。健康診断というよりも、健康であるかどうかを調べる検査についてですね。
ちなみに身長も視力聴力も測りませんが、体重はよく測ります。
さて、コロナ時代になり、『PCR検査』という単語が耳馴染みになりました。
実は、この『PCR検査』は、豚でも行っているのです。(多分、どの動物でも)
では、現場サイドから見た豚の検査についてを書いてみようと思います。
※あくまでイチ現場の人間が書いたものです。獣医師ではないので、詳しく知りたい方はGoogleさんに頼ってください。
さて、どんな検査方法があるのか。。?
【 糞便検査 】
これは現場としては一番楽に採材できる検査です。対象豚房の糞を拾います。
糞便検査で検査するのは、寄生虫の有無の検査です。
寄生虫が発見された場合はその虫に効果のある駆虫薬を投薬します。と、言っても基本的に定期的に駆虫は行っているため、ここで発見される虫は駆虫が困難なしつこい虫だったりもします。が、肉には影響ありません。まれに影響がある場合は、その部位はしっかり廃棄されます。(主に肝臓)
話は変わりますが、東京目黒区にある「寄生虫博物館」行ったことありますか?私は昔一度だけ行ったのですが(近ければもっと行っているかも)、おもしろかったです。
【 血液検査 】
まぁ、検査と言えばコレですよね。血液検査。。。人間のように腕を出してじっとなんてしてくれるわけがありません。
肉豚は、1頭ずつワイヤー製の保定器を口にかけて保定して行います。これがそれなりの頭数がいると大変なのです。豚は鳴くし割と暴れます。採血する場所は首です。
種豚の場合は、尻尾から採血する場合もあります。こちらの方が暴れませんが、1頭ずつ狭い場所に入っていないとできません。
血液検査では、予算次第でいろいろな検査が可能です。(人間と同じです)
大体、当たりをつけて〇〇(ウィルス名)と△△と◇◇の検査をお願いすることが多いです。(予算の都合上)
ところで、人間は年1回行う健康診断ですが、豚の場合半年でお肉になるため個々を追跡することは少なく、日齢で対象豚を決めます。一般的なのは、30日齢・60日齢・90日齢・120日齢・種豚 で行うことが多いです。農場の規模によって対象頭数が変わります(統計学的なやつ)。
【 唾液検査 】
さて、唾液検査。人間がやるならば簡単です。豚も比較的簡単に採材できます。どのようにやると思いますか?
まず、太めの綿ロープを用意します。適当な長さに切って、豚房に結わきます。そうすると、目新しいモノを見つけた豚さんたちがワラワラと寄ってきて、ロープをハムハムし始めます。そう、コレです。ロープをハムハムさせて唾液を綿ロープに染み込ませます。そして、ある程度時間が経ったら綿ロープを回収します。回収したロープを強めなビニール袋に入れて、搾ります。あら不思議!ビニール袋に唾液が溜まります!こうして搾った唾液を検査容器に入れたら採材完了です。
ここでいくつか注意点があります。まず、ハムハムさせる時間。短いと搾れるほど唾液が染みていないし、長すぎるとハムハムし過ぎて綿ロープが破壊されてしまいます。豚の頭数と、大きさで時間は異なりますが、「適度な時間」があります。
あとは、搾り方。ロープと袋を絶妙な角度にして搾らないと、せっかく搾った唾液がまたロープに吸収されてしまいますよ~。
【 死亡豚解剖 】←「健康診断」ではないけれど
これは、死亡豚をまるまる検査機関へ持ち込む場合と、現場で解剖して「肺」「肝臓」「心臓」など、臓器の一部を持ち込む場合があります。
現場で、解剖は死体が新鮮であれば行うこともあります。時間が経ってしまうと変色や腐敗が始まり、よくわからなくなってしまうので。
まるまる持ち込む場合ももちろん、なるべく新鮮な状態で持ち込みます。現場で死亡理由が判断できない場合、病気診断のプロに診てもらいます。
こんな感じですかね?
あと人間の検査と違うところは、検体をまとめて検査することがある、ということですかね。群で飼育している離乳豚以降はまとめて検査することが多いです。その群で病気のレベルがどうか、ということですね。逆に、種豚は個別で検査することが多いです。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
また機会があればよろしくお願いします!
(続)